2018年7月24日火曜日

古くて新しいアナログ製品に復活の兆し

生産終了したオーディオ機器を復活

最近、オーディオやカメラなどの分野でアナログ製品の人気が高まっている。

昭和時代には、多くの家庭に置かれていたターンテーブル式のレコードプレーヤーだが、CDプレーヤーやiPodなどの音楽プレーヤーの台頭により、多くのメーカーが生産を終了あるいは大幅縮小した。パナソニックもその一つである。

しかし、パナソニックは、かつての人気音響ブランド「テクニクス」を復活させ、レコードプレーヤーを新製品として発売したのである。

レコード生産に関しても、2017のアナログレコード生産量は、16年ぶりに100万枚を超えた(2018年6月11日、産経新聞)。


ラジカセやアナログカメラも人気再燃


1970年代から1980年代に広く普及したラジオカセットレコーダー(ラジカセ)も、時代とともに使われなくなっていたが、昨年(2016年)12月にパルコが「大ラジカセ展」を行うなど、アナログ回帰の気配を見せている。



カセットテープの人気も再燃しつつあり、東京の渋谷や中目黒など若者が多い地域でカセットテープ専門店が登場している(参照元:日経電子版)。

回帰現象は、オーディオだけではない。スマートフォンのカメラの性能が向上したことなどから、販売量が激減していたアナログカメラも、ここにきて、人気が再燃している。

富士フィルムが1986年に発売したレンズ付きフィルム「写ルンです」もその一つである。同社直営の「WONDER PHOTO SHOP」では、2年ほど前の販売本数は1ヵ月あたり20本程度だったが、昨年12月は100本を売り上げた(2016年4月4日、YOMIURI ONLINE)。

(富士フィルムサイト:http://fujifilm.jp/index.html


フィルムを使うと独特の風合いが出ることも人気の要因である。また、デジタルカメラなどは撮影したその場で画像を確認できる一方、フィルムを使うカメラは、現像するまでわからないが、それも楽しみの一つと捉えられている。
 

アナログ製品に興味がある、意外な客層

これらアナログ製品に特に興味を持っているのは、意外なことにリアルタイムで製品を使った経験のない若い世代である。まったく知らなかったことで、逆に新鮮に感じているようだ。

アナログレコードは、デジタル処理がされていないため、あたたかくやわらかな音になる。また、盤面が大きく、ジャケットのデザインも凝っているものが多いため、インテリアとして楽しむこともできる。

アナログのフィルム式のカメラでは、デジタルカメラのように適当にたくさん撮撮影し、後で不要な物を消したり、編集したりすることができないので、撮影時に心地よい緊張感が味わえるとの声もある。

まとめ

もちろん今後、アナログ製品が急激に多くの市場を席捲するとまでは考えにくいが、今後とも静かなブームという形で様々な既存のデジタル製品の分野へと広がりを見せていくことは想像に難くない。

一般にデジタル製品に比べてアナログ製品は、創意工夫やきめ細やかなスキルが差別化をもたらす傾向があり、高い技術力を有する企業ほど高い品質の製品を提供できる。

その点から見れば、アナログ製品の人気復活は、常に創意工夫を積み上げ、熟達したスキルと高い技術力を誇る「モノづくり国=日本」のメーカーにとって、内外の市場でビジネスチャンスを高める可能性を秘めていると言えよう。