2018年6月9日土曜日

なぜいま、「ダブルブランド戦略」が広がっているのか?

最近増えている「ダブルブランド戦略」とは


最近、「ダブルブランド戦略」を採る企業が増えている。これは、共同開発や提携などにより生み出された商品や店舗などを、いずれか片方ではなく双方のブランドとして販売する戦略である。

例えば、スリーエフは、コンビニ事業を分社化してローソンと共同運営を進めており、「スリーエフ」を順次「ローソン・スリーエフ」へと切り替えている。またローソンは、ポプラとの共同運営も進めており、2016年11月から、山陰地方を中心に「ローソン・ポプラ」を次々に開店させている。




セブン&アイ・ホールディングスは、サントリーやキリンビールと組んでPB(プライベートブランド)のビールを共同開発し、ダブルブランドで販売している。

セブンイレブンとサントリーのダブルブランド商品



ダブルブランド戦略の狙い


ダブルブランド戦略の狙いは、主に、消費者の認知や信頼を早々に勝ち取ることと「シナジー(相乗)効果」にあると考えられる。

ローソンの例で言えば、ローソン単独ブランドに切り替えるより、以前から地元に根付いているブランドとタイアップするほうが、早期に消費者の認知や信頼を得やすく、双方の強みが合体することによってシナジー効果も出やすい。セブン&アイのビールにしても、有名企業とダブルブランドにしたほうが、早期に消費者の認知や信頼を得やすいうえ、同様の意味でシナジー効果も期待できる。


ダブルブランドにすることで、統一感の欠如やブランドイメージの希薄化といった課題はあるものの、上記のような効果が期待できることも事実である。

近年、内外において、企業を取り巻く環境の急激な変化を受けて業界再編の機運が高まる中、様々な業界でM&A(企業の合併・買収)が増えている。従来は吸収した企業のブランドのみを付すケースが多かったが、今後は、M&Aと共にダブルブランド戦略を採る企業が増えることも予想される。