日本でも急速にEV(電気自動車)利用が広がり、いわゆる「EVシフト」が進んでいる。
そうしたなか、EVの開発競争が世界的に激化している。
「EVシフト」が進む背景には、各国で環境規制が厳しくなっていることがある。
特に欧州ではフランスやオランダなどでガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する政策が打ち出され、法案の整備も進んでいる。
また、PM2.5など大気汚染が深刻化する中国もガソリン車に見切りをつけ、EV車へと大きく舵を切りました。さらには、世界5位の自動車市場規を誇るインドでも、2030年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁じ、国内販売をEVに限定する方針を打ち出している。
日産は、2017年10月に、EV「リーフ」を約8年ぶりに全面改良して発売した。
また、海外でも、米EVベンチャーのテスラや独フォルクスワーゲン、中国のBYD、さらには羽根のない扇風機などで知られる英ダイソンもEV市場への参入を表明している。
日本の自動車業界をけん引するトヨタも、2017年9月、マツダ、デンソーの2社と、EVの共同技術開発契約を締結し、「脱自前主義」の体制でEV開発に臨む姿勢を示している。
トヨタはEV開発を強化するものの、ハイブリッド技術を中心に据え、EVとともにFCV(燃料電池車)、PHV(プラグインハイブリッド車)も含めた全方位的な商品ラインの構築姿勢を崩していない。
また、トラックやバスを中心に製造する日野自動車は、EVシフトは必要ではあるが、大型トラックでは、ディーゼルエンジンが主流で生き残るという認識を示している。
すでに積み上げたものがあると、それを手放すのは容易ではない。
省エネに長けたガソリン車やハイブリッド車を開発した日本企業も同様である。
しかし、日本メーカーが世界のメガトレンド(大潮流)を見極め、EV面において競争優位性を取り戻すには、過去の栄光を捨て、家電やIT業界の協力を得ながら、今一度、ゼロベースでEV開発に取り組むことが求められよう。