2018年5月8日火曜日

イートインとの差別化戦略「グローサラント」




最近、コンビニエンスストア等がイートインスペースやフードコートの充実に注力する傾向がみられる。それに対抗して主にスーパーマーケット(以下、スーパー)が差別化戦略として進めているのが、「グローサラント」という業態である。

グローサラントとは「グローサリー(食品スーパー)」とレストランを合わせた造語である。スーパーの店内にレストランを思わせる高級感のあるスペースを設け、店内で販売されている食材を中心に使い、クオリティの高い食事を提供するサービスである。

イタリア・トリノで創業したEATALY(イータリー)は、2017年8月に東京駅の地下に「イータリー グランスタ丸の内店」をオープンした。

また、高級食材を扱う成城石井は、2017年9月、「成城石井スタイルデリ&カフェ」をオープンした。いずれも店内で販売している惣菜のほか、店内で販売する旬の食材を活かしたメニューをそろえている。

こうした動きの背景には、飲食需要の取り込みはもとより、コンビニエンスストア等におけるイートインスペースやショッピングモール等におけるフードコートとの差別化を図る意図があると考えられる。

一般的にグローサラントは日本ではまだ知名度が低いが、米国では、すでに新たなトレンドとして注目されている。

もっとも、スーパーとレストランの運営手法が異なることなどから、今後グローサラントが直ちに爆発的なブームになるとまでは言えないかもしれない。

だが、近年、スーパーは衰退傾向にあることから、生き残りをかけてこうした思い切った戦略に出る事例が徐々に増えることは間違いないだろう。