2014年10月20日月曜日

「優先順位を付けて」って英語でなんて言う?

※ 優先順位を付けて  on a priority basis

【例文】
The board of directors must hammer out countermeasures on a priority basis.
取締役会は優先順位を付けて対策を打ち出さなければならない。


【ネイティブスピーカーの発音】



【だいじな表現】
board of directors:取締役会
hammer out(苦心して) 打ち出す・(苦心して)策定する
countermeasures:対策

 【中学英文法によるかいせつ】
 この文を分解して、それぞれを訳すと、こんな感じになります(↓)


① the board of directorsは、「取締役会」。

一般に株式会社には、3つの機関[株主総会、取締役会、監査役会]があります。
これらのうち株主総会(the general meeting of stockholders)は、会社の大きな方向性を決める最高意思決定機関で、会社のオーナーすなわち株主(stockholder, shareholder)の集まりです。

取締役会(board of director)は、プロとしての経営管理者の実務的な意思決定機関です。
そして、監査役会(board of auditors)は代表取締役(representative director)をはじめ取締役ら(directors)によって適正に経営管理が行われているかをチェックする機関です。

このように、株式会社では、3つの機関が独立しつつ、相互に役割分担をしながら、ある意味ではけん制し合う関係を作り、それが経営に安定感を与えるように工夫されています。

なお、会社のオーナー(株主)は経営の大きな方向性だけを決め、後は経営のプロ(経営者)に任せるべきという考え方を「所有と経営の分離(separation of ownership from management)」と言います。バーリー&ミーンズ(米国の法学者Adolphe A. Barle, Jr. と経済学者Gardiner C. Means)が提唱しました。



mustは、「強い義務」を意味する助動詞で「~しなければならない」と訳します。have tohas to)も同じような意味で使われます。

hammer outは、もともと、ハンマーで金属を叩いて形を作る作業のことで、ここではアイデアや対策などを苦心して打ち出すことを意味します。
ちなみに「ピアノを弾く」という意味もありますよ(→【おまけ】参照)。
なお、対策や案などを苦心して「策定する」「まとめあげる」という意味の表現には、hammer out の他にも、craft, compile, lay out, map outなどがあります。


② countermeasures)は、「対抗手段・対策」の意味です。
measures, means, stepなどにも「方策」「対策」という意味があります。
また、安全や予防のための措置は、precautionが使われます。
例)take a safety precaution(安全対策を取る)

on a priority basisは、「優先順位を付けて」。
priorityは、「優先事項・優先度」。basisは、土台、基礎という意味のほか、「基準」という意味もあります。
つまり、on a priority basisの直接的な意味は、「優先度を基準として」です。

ちなみに、top priorityは、「最優先・先決」。「最優先課題」は、top priority of tasks。また、「~を優先する」は、placeput priority on~が、「~を最優先する」はgive top priority to~などが使われます。反対に後回しにする場合は、put on the back burner(~を後回しにする)と表現できます。


【おまけ】
hammer outは、ピアノで曲を演奏する表現として使うこともあります。

ピアノは、それぞれの鍵盤に対して弦が張られていて、鍵盤を押す(叩く)と、それに連動したハンマーが弦を叩いて音が出る仕組みになっているため、このような表現を使うのでしょうね。

Upright piano hammers & dampers.jpg
"Upright piano hammers & dampers". Licensed under CC 表示 2.5 via ウィキメディア・コモンズ.

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