【今日のビジネス英語表現】
※入念に:with a fine
tooth comb
【例文】
The FSA has inspected a lot of financial institutions with a
fine tooth comb to keep a damper on non-performing loans.
金融庁は、不良債権を抑え込むために多くの金融機関を入念に検査してきた。
【ネイティブスピーカーの発音】
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【だいじな表現】
・FSA : Financial Services Agency 金融庁
・keep (put) a damper on~:~に水をさす ~を抑え込む
・non-performing loans:不良債権=bad loans
【中学英文法によるかいせつ】
この文を分解して、それぞれを訳すと、こんな感じになります(↓)
① FSAは、Financial Services
Agencyの略で、金融庁を指します。
「~庁」という英語表現には、agency, department, ministry, officeなどがあります。
例)Resources and Energy Agency:資源エネルギー庁
Metropolitan Police Department:警視庁
Patent Office:特許庁
inspect(ed)は、「検査する・調査する」。ここでは、現在完了形(have+過去分詞)になっていますので、「検査した」となります。
現在完了形については、【おまけ】にまとめていますのでご覧ください。
a lot of~は、「多くの~・たくさんの~」という一般的な表現です。manyと同じ意味です。
financial institutionは、「金融機関」。institutionは、公共の機関や施設、あるいは制度などの意味です。
例)governmental institution(政府機関)
institutionに似た表現としてinstituteがあります。これは動詞としては「制定する」などの意味で、名詞の場合は「研究所」や「(理工系の)専門学校・大学」という意味です。
例)Massachusetts Institute of Technology:MIT(マサチューセッツ工科大学)
with a fine tooth combは、「入念に」という意味です。withは、ここでは手段を示す前置詞で「~で・~を使って」という意味です。
toothは、「歯(teeth)」の複数形で、combは髪をとかすためのくしを指します。fine tooth combは、もともと目の細かいくし(櫛)のことで、直訳すると「目の細かいくしを使って」となります。これが転じて、「入念に・綿密に・くまなく」探したり、調査したりすることを示すようになったと考えられます。
他に「入念に」という意味の英語表現には、carefully, elaboratelyなどがあります。さらに「徹底的に」という場合は、completely, outright, thoroughlyなどがあります。
② keep a damper on~で、「~を抑え込む・水を差す」。put a damper onとも言います。damperは、何かを妨げるものを意味します。例えばピアノの音を弱めるための道具もdamper(弱音器)と言います。
keep a damper on~の類似表現としては、cast a chill over~=throw cold water on~(~に冷水を浴びせる)があります。
non-performing loansは、「不良債権」。
不良債権とは、経営が破たん、もしくは著しく業績不振により回収のめどが立たない債権です。non-performingとは契約が債務が不履行の状態を指します。loan(s)は「債権」。会計用語ではreceivablesと言います。
「債権」は、人や企業などに対して、お金などの支払いを請求できる権利ですが、反対に、支払いを請求される側は「債務」を追うことになります。
債務は英語で、debt, obligationなどと言います。会計用語ではpayablesが使われます。
また、ここに出てくるto~は、「~ために」という意味で、前に出てくる動詞(has inspected)を修飾(説明)しています(不定詞の副詞的用法)。つまり、金融庁が入念な検査を行ったのは、「不良債権を抑え込むため」だったことがわかります。
【おまけ】
現在完了形には、「完了・結果(~したところだ)」「経験(いままでに~したことがある)」「継続(ある時点から、ず~っとその状態が続いている)」といった用法があります。
例えば、「完了・結果」の場合は、just(ちょうど)やalreadyなどの副詞が使われていたり、「経験」の場合は、ever(かつて、これまでに)、そして「継続」の場合は、for~(~の間)、since~(~以来)などが文に含まれていることが多いです。
ただし、現在完了形は、上のどの用法であっても、過去と現在がつながっていることを示す表現であることに変わりはありません。