ナッジとは?
「ナッジ理論」が、マーケティングで注目されるようになった。
「ナッジ(nudge)」とは、英語で「肘でそっとつつく」「そっとけしかける」といった意味で、行動経済学では軽い刺激を与えて利用者や顧客などを適切な(望ましい)選択に導く理論を指す。
ナッジ理論は、シカゴ大学のリチャード・セイラ―教授とハーバード大学のキャス・サンスティーン教授が提唱した。2017年にセイラ―教授のノーベル経済賞受賞を機に米国を中心に世界的な広がりを見せ、最近では、世界的に広まりつつある。
ナッジの事例
ナッジ理論を応用した事例は、ごく身近にある。例えば、コンビニエンスストアやスーパーなどで、レジから少し離れたところに足跡のかたちを描いておくと、レジ待ちの客がその位置に立つようになる。
レストランのメニューで「店長おすすめ」などと書かれていると、そのメニューが選択されやすくなる。
また、アマゾンなどのウェブサービスで、入会月は無料で解約しない限り継続(次月より課金)とする企業が多いのもナッジの応用である。「解約しない限り継続」という、企業側が希望する消費者行動をデフォルト(初期設定)にしておくことで、継続する人が増える傾向がある。
ナッジの応用可能性
ナッジ理論は、欧米では公共政策にも応用されている。例えば米国ではオバマ大統領が公共政策にナッジを導入することを求めた大統領令を発令し、ナッジを活用する組織を設置した。
環境分野では、電力消費量の多い家庭に対して「近所のご家庭より電力消費量が多いです」というメッセージを送ったところ、消費量の減少がみられた。
日本でも、2017年から環境省が、ナッジ理論を応用した省エネ活動に着手している(http://www.env.go.jp/press/104736.html)。
今後、ナッジ理論はマーケティング等のビジネス分野だけではなく、社会の幅広い分野で、最適化や効率化を促すための有効なツールとして応用されるようになるだろう。